-牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)-


牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)の効能

体力が中等度以下で、頻尿、腰痛、足のむくみ、精力減退などの下半身の弱った状態があって、口がかわき、食欲があり、胃腸に異常のない人に用います。八味地黄丸(はちみじおうがん)牛膝(ごしつ)車前子(しゃぜんし)を加えて作用を強力にした処方ですので、八味地黄丸で効果が不十分な人に良いです。

抗がん剤の副作用で起きる手足のしびれには「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」など、乳がんのホルモン治療や、子宮・卵巣がんの手術で卵巣を取った後に起きるほてりには「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」「加味逍遥散(かみしょうようさん)」など、のどや耳下腺がんなどの放射線治療の後遺症で、だえきが出ず、口が渇く症状には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などを使います。


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適応される症状

  • ED(勃起障害)
  • 腰痛
  • むくみ

配合生薬

配合生薬の効能

地黄(じおう)

地黄は漢方治療で、糖尿病に用いられる処方の一つ八味地黄丸(はちみじおうがん)の主構成生薬です。地黄にはその調製法により鮮地黄(せんじおう)、乾地黄(かんじおう)、熟地黄(じゆくじおう)があります。

乾地黄には熱を冷ます作用と血糖降下作用がありますが、虚弱体質の方には不向きです。乾地黄の血糖降下作用はイリドイド配糖体のレーマンノサイド類によるものです、その他、乾地黄エキスには血圧を下げる作用が認められています。

鮮地黄には止血や通経作用があり、熟地黄エキスには血液増加作用や強壮効果があります。

山茱萸(さんしゅゆ)

山茱萸は補腎、強壮、疲労回復薬として、脾胃を温め、寒、温による疼痛、知覚麻痺、冷えなどの症状を除き、腰や膝を温め、尿利をよくし、老人の頻尿を抑え、耳なり、頭痛を治す。

これらの裏付けとして、タンニン類(テリマグランジンⅠⅡなど)の抗酸化作用による脂質過酸化抑制、脂肪分解阻害作用、スーパーオキシドラジカル除去作用が確認されている他、抗腫瘍、抗ウイルス作用も報告されています。

また、山茱萸エキスに血糖降下作用、抗アレルギー作用、免疫活性作用、肝機能障害の改善作用などが報告されています。

山薬(さんやく)

山薬は補剤として応用範囲が広く、特に脾臓や胃の虚弱を補い、食欲不振や疲労に滋養強壮、強精薬として、用いられます。でんぷんや消化酵素も多く含まれ、とろろ汁として食用しても効果があり、慢性の下痢にも良いので、まさに医食同源を代表する生薬の一です。

水性エキスに男性ホルモン増強作用が認められ、ステロイドサポニンが関与していると推測されています。

漢方では糖尿病治療薬として処方される八味地黄丸(はちみじおうがん)などに配合されていますが、山薬に含まれる多糖類や糖タンパクが有効成分と思われ、動物実験でも血糖降下作用が報告されています。

沢瀉(たくしゃ)

沢瀉には尿毒症の改善、肝脂肪の蓄積抑制、利尿作用などが認められています。

これらにはトリテルペンのアリソールB、およびそれらのモノアセタートが関与しています。また、これらは血中のコレステロール低下作用を示すことが動物実験で確認されています。また免疫活性作用は含有多糖類による効果です。

漢方では利尿薬や尿路疾患用薬、鎮暈薬(ちんうんやく:乗物酔い防止薬)などに処方されます。

茯苓(ぶくりょう)

茯苓には、利尿、強心、鎮痛、鎮静作用があります。漢方処方では利尿剤、利水剤、心悸亢進、胃内停水、浮腫、筋肉の痙攣などに茯苓を配合しています。

秩苓とは漢名で、植物名をマツホドと呼び、松の根に寄生するサルノコシカケ科の菌核です。秩苓は菌核に多糖類のβパヒマンを、それにテルペノイドやエルゴステロールなどの成分を含んでいます。

最近の報告では多糖類のパヒマンから誘導されたパヒマランに、細胞性免疫賦活作用が認められています。サルノコシカケ科に共通の抗腫瘍作用とともに、今後の研究が期待されています。

茯苓は民間薬としては使われず、まれに利尿を目的に煎液を飲む程度です。漢方でも配合薬としては汎用されますが、単独では用いません。

牡丹皮(ぼたんぴ)

牡丹皮は鎮静、鎮痛、消炎作用があり、漢方で血行不順に関係する婦人病薬として、芍薬とならんで多用されますが、単独で用いられることなく、駆お血(血の流れの改善)処方に配合されます。

主成分は、フェノール類のペオノールやモノテルペノイド配糖体のペオニフロリンなどで、いずれも鎮痛、鎮静作用が認められています。ペオニフロリンにはまた、大腸薗、ブドウ状球薗、連鎖状球菌などに対して増殖抑制作用があります。その他タンニンを多く含みます。

牡丹皮は体質的には体力があり、便秘がちな人に適用されます。

桂皮(けいひ)

桂皮には、発汗作用 健胃作用 のぼせを治す作用 鎮痛作用 解熱作用があります。漢方では、頭痛、発熱、悪風、体痛、逆上などを目的に使います。

主成分は、カツラアルデヒドを含む精油です。

風邪をひいて胃腸や体が丈夫でない人は葛根湯(かっこんとう)でなく、桂皮を配合した桂枝湯(けいしとう)を服用すると良いでしょう。

民間療法として桂皮は健胃、整腸に用いられ、桂皮を煎じて食前に飲みます。また桂皮の葉を陰干しにし布袋に詰めて風呂に入れると、精油の作用で体をあたためる効果があります。

附子(ぶし)

中医学では寒を去り、痛みを止める薬として悪寒や、四肢の関節痛を治す目的に使用されます。附子は新陳代謝機能を促進し(特に水分の代謝を促進)、強心、利尿、鎮痛薬となります。

主成分であるアコニチンは猛毒物質で、心拍数亢進、不整脈を起こし心停止になることが知られています。猛毒のため、塩附子、炮附子、加工附子などに加工調製を施して生薬にします。

アコニチン系アルカロイド、メスアコニチンは、中枢性の鎮痛作用や血管拡張作用(平滑筋弛緩作用)、ならびに免疫抑制または増強作用を示します。強心作用物質としてハイゲナミンが確認されています。

アコニチン系アルカロイドには、抗炎症作用や肝臓での、タンパク質生合促進作用も報告されています。また、血糖降下作用を示す成分として、アコニタンA-Cがあります。

附子エキスにはその他、抗ストレス潰瘍、腎機能改善作用などが認められている。有毒植物なので、素人の使用は危険です。

牛膝(ごしつ)

神経痛、リウマチ、腰痛、脚気、その他月経不順などの婦人病に効果があります。有効成分としてはサポニンの他、イノコステロンなどの昆虫変態ホルモンが有ります。

牛膝は下腹部の薬として用いられていますが、中でも通経作用が顕著で、閉経した女性の頭痛や充血感を取り除く効果があるようです。

受胎動物を用いた実験で、牛膝の抽出エキスに子宮収縮作用が確認されていますが、先のイノコステロンが関与している可能性もあります。したがって、妊娠している人は服用を避けるべきです。実際、昔は堕胎の目的にも、使われたといわれています。

車前子(しゃぜんし)車前草(しゃぜんそう)

車前子はオオバコの種子、車前草はオオバコの全草を指します。車前子、車前草には消炎、利尿、整腸作用の他、鎮咳効果もあります。慢性気管支炎の咳に、車前草の煎液がきわめて有効であることは、臨床的に証明されています。

利尿効果は、この植物に特異な成分として含まれる、イリドイド配糖体のアウクビンが有効成分と思われる。その他、車前子に含まれる粘液性配糖体、プランタゴ-ムチラゲAに免疫活性作用、および血糖降下作用があることが証明されています。

民間的に、ゲンノショウコと同じように車前草を毎日お茶のように飲むと胃腸によいといわれている他、眼病に洗眼料として利用されています。ある地方では、種皮に緩下作用があるとして便秘に利用されていますが、これは粘液質によるものと思われます。


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漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用


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