-子宮がんの広汎(こうはん)子宮頸部摘出術-


子宮がんの広汎(こうはん)子宮頸部摘出術

子宮頸(けい)がん

子宮がんには、入り口(頸部)にできる子宮頸がんと、奥の部分にできる子宮体がんがあります。

子宮頸がんには、早期であれば、頸部を円錐(えんすい)状に切り取って子宮全体は残す「円錐切除術」が広く行われています。ただ対象は、がんが子宮頸部の浅い部分にとどまる0期から1a1期に限られ、病巣が広がったり深くなったりした場合、通常は子宮を摘出しなければならない。


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広汎(こうはん)子宮頸部摘出術

これに対し、子宮を温存する「広汎子宮頸部摘出術」は、子宮頸部と膣(ちつ)の一部、周囲のリンパ節と子宮をおなかの中で支える組織(基靭帯)を切り取り、残した子宮体部を膣につなぐ方法です。

この治療は、がんがやや進行した1a2期から1b1期までが対象になります。ただし、がんが2センチ以上か、「腺がん」というタイプの場合は転移の危険が高く、この治療を受けられるとは限りません。周囲のリンパ節へ転移がある場合も子宮を摘出します。

ただ、妊娠しても早産しやすい傾向があり、子宮の入り口を縛り直す緊急手術を行う場合もあります。

欧米データでは、がんの再発率は子宮全摘手術と変わりませんが、安全性が確立しているとは言えず、妊娠中も画像診断などで再発していないかチェックが欠かせません。

広汎(こうはん)子宮頸部摘出術は、がん治療にあたる医師と、産科、小児科医が緊密に連携して初めてできる治療と言えます。

子宮体がんの温存治療

子宮体がんでも温存治療が進んでいます。がんの広がりを防ぐため黄体ホルモンを毎日服用して内膜の増殖を抑えながら、内側を覆う子宮内膜を、細い棒状の器具を挿入して定期的にはがし取ります。

がんが子宮内膜にとどまる1a期のほか、将来がん化する可能性が高い「子宮内膜異型増殖症」も治療の対象です。

黄体ホルモンの服薬中は、4週間ごとに超音波で内膜の厚さを確認します。治療は4か月から半年かかります。再発した場合、治療をもう一度繰り返すこともできますが、子宮を摘出せざるを得ないこともあります。十分な経過観察が治療成功のカギになります。


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関係医療機関

慶応大学病院


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